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 映画企画の意図
 映画のスタッフと出演者
 映画の構成
  第一部
  第二部
  第三部
  第四部

映画企画の意図
 これは劇映画ではありません。現代の人気歌手を集めて、往年の名作ミュージカルのナンバーを歌ってもらうコンサートとショーによる映画です。しかし、私のこうした企画に対しては、当然、次のような疑問が提示されるでしょう。
「でも、それって、NHKのBSの歌番組なんかでやる企画じゃないの。それを映画にして映画館で上映したって、客なんか入らないでしょう」

 私も最初はそう考えていました。単に、そのようなテレビ番組ができればいいなと思ったしだいです。きっかけはWOWOWで倉木麻衣のコンサートの放映を見たことでした。彼女が歌うミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の同名の主題歌が見事だったので、彼女や、私が好きなほかの歌手などが集まって、かつてのミュージカルの黄金時代のミュージカル・ナンバーを歌うテレビ番組をNHKあたりが制作してくれないかなと考えたわけです。

 歌手と曲目は、次々と私の頭の中で浮かんできました。倉木麻衣は「サウンド・オブ・ミュージック」と「エーデルワイス」、。平原綾香が「サンライズ・サンセット」と「バリ・ハイ」。華原朋美が歌う「ピープル」となんていうのも面白いかもしれない。AKB48のメンバーたちに「ハロー・ドーリー!」と「ショウほど素敵な商売はない」を歌わせてもいいでしょう。

 これらの名歌は「流行歌」ではありません。クラシック音楽でいえば、ベートーベンやモーツァルトの曲と同じく「古典」であり、今後何百年、あるいはそれ以上にわたって残るべき作品です。しかし、今の若い人たちは知らないのです。昔、けっこう映画好きの若い女性が映画『サウンド・オブ・ミュージック』や『ウエストサイド物語』を知らないので驚いたことがありますが、今の若い人たちは、ミュージカルアニメの『アナと雪の女王』のなかの歌の「ありのままで」は知っていても、それとは比較にならないほどレベルの高いこれらのミュージカルの名歌は知らない。「トゥナイト」を聴いてもわからないし、「シャル・ウィ・ダンス」は周防(すお)正行監督の映画の主題歌だと思っている。おそらく『サウンド・オブ・ミュージック』のナンバーの「私のお気に入り」は、JR東海のCM「そうだ 京都、行こう」に付けられたメロディにすぎないと認識しているでしょう。

 そこで私は、これらのミュージカルナンバーの傑作を現代の優れた歌唱力を持った歌手たちに歌ってもらい(一部の歌手は、歌唱力以外の要素も考慮しましたが)、その素晴らしさを皆に知ってもらって、できればそのブームを起こせればと思ったしだいです。とはいったものの、いくら私が希望しても、NHKなどがそうした番組を制作してくれなくてはしかたがない。それに、テレビ番組というのは、通常一回放映されたらそれで終わり。それだけで、往年のミュージカルナンバーのブームを起こすことはむずかしいといえるでしょう。しかし、それなら、これを映画館で上映される映画として製作したらどうかと考えたわけです。

 まず、映画なら、製作費がテレビ番組とは比較にならないほどかけられます。NHKなどでこのような歌番組を制作しても、費用は多くて数千万円程度でしょう。映画なら、その数倍はかけられるので、はるかに豪華な内容となります。もちろん、テレビで見るより映画館の大画面と優れた音響でそれぞれのミュージカルナンバーを鑑賞してもらったほうが、その素晴らしさが伝わりやすい。また、映画に出演するそれぞれの歌手が、ファン向けのサイトやテレビの歌番組などでの情報提供に協力してくれるでしょう。もちろん、新聞やテレビなどでの広告も行うため、往年のミュージカルナンバーのブームが起こる可能性はかなり高いと思います。そして、映画の上映が終了したあとも、そのDVD・BDが発売され、WOWOWなどのBSでも放映されることになりますし、映画がヒットすれば、地上波での放映も考えられます。

 このように考えると、やはり私はこの企画はテレビ番組ではなく、劇場用映画として製作すべきという結論に達したわけです。しかし、問題は、このような映画が、はたして多くの入場者を呼び寄せて採算が取れるのかということでしょう。けれども、私はかなり楽観的な見方をしています。もちろん、映画の内容が魅力的であることが前提条件ですが、ヒットする可能性は決して低くないと考えています。というのも、この映画の観客として、四つの層が期待できるからです。

 その第一の層は、この映画に出演する歌手たちのファンで、そのコンサートを見に行ったりCDを買ったりしている人たちです。このファンたちのなかには、この映画を見に何回も映画館に足を運ぶ人も少なくないでしょう。第二の層は、舞台のミュージカルのファンで、『レ・ミゼラブル』や劇団四季のミュージカルなどが大好きという人たちです。しかし、現在の若いミュージカルファンは、案外、昔の傑作ミュージカルについては詳しくないケースもあるようなので、この映画でそのすばらしさを知ってもらいたいと思います。次は第三の層で、これは第二の層と重なる部分もありますが、若いころ、これらのミュージカル映画や、その音楽を楽しみ、なつかしいということで見に来てくれるシニアの層。私が舞台のミュージカルを見に行って気づいたのは、『レ・ミゼラブル』などの現代のミュージカルの観客はほとんどが若い女性なのにたいし、『マイ・フェア・レディ』や『メリー・ポピンズ』などの古典は、年配の男女、それも夫婦で見に来ている人たちが多数いるということです。ただ、舞台ミュージカルのチケットは高額なうえ、東京など大都市でしか上演されないため、地方のミュージカルファンが見るのは困難ということがあります。この映画はそういう人たちにも、なつかしいミュージカルの名場面をを気軽に楽しんでもらえることでしょう。そして最後の第四の層ですが、これらの人たち以外の、昔のミュージカルについてはよく知らないけれども、話題になっているので関心があり、見てみようかという十代から四十代ぐらいの人たちです。

映画のスタッフと出演者
 では、次に、この映画のスタッフと出演者、そして彼らが歌うナンバーについて説明したいと思います。

○スタッフ
製作・構成……佐保涼
監督……佐保涼ほか
編曲・指揮……藤原いくろう
オーケストラ……東京フィルハーモニー交響楽団

 監督は、第二部と第四部のスタジオセットの撮影においては私が行いますが、第一部と第三部のコンサートの部分は、映像に関しては、様々なコンサートのビデオの演出をしてきた人にに担当してもらいます(個人的には、倉木麻衣のコンサートのディレクターは、たいへん優秀だと感じています)。

 編曲・指揮を担当してもらいたいと思っている藤原いくろうさんは、作曲・編曲・指揮・ピアノ演奏など幅広く活躍している音楽家ですが、倉木麻衣や平原綾香などのポップス歌手と東京フィルハーモニー交響楽団とのコラボによるコンサートを実施してきたことで知られています。私がこの映画の企画を思いついたきっかけは、倉木麻衣の歌う「サウンド・オブ・ミュージック」ですが、この歌を彼女が歌うことを提案したのは藤原さんということですので、藤原さんの提案がなければ、この企画は生まれなかったということになります。

○出演者と歌(野口五郎と岩崎宏美は司会も兼ねる)
・平原綾香……「サンライズ・サンセット」「2ペンスを鳩に」「バリ・ハイ」(「エーデルワイス」にも加わる)
・野口五郎……「魅惑の宵」「見果てぬ夢」「ショウほど素敵な商売はない」(「エーデルワイス」にも加わる)
・岩崎宏美……「魅惑の宵」「ハロー・ヤング・ラバーズ」「ショウほど素敵な商売はない」(「エーデルワイス」にも加わる)
・倉木麻衣……「サウンド・オブ・ミュージック」「私のお気に入り」「エーデルワイス」「トゥナイト」「踊り明かそう」「シャル・ウィ・ダンス」
・ジュリー・アンドリュース……「サウンド・オブ・ミュージック」(映画より)
・福山雅治……「マリア」「トゥナイト」「君住む街角」
・渡辺謙……「シャル・ウィ・ダンス」
・松田聖子……「愛はどこに」「メモリー」
・秋川雅史(まさふみ)……「もしもあなたと別れるなら」
・華原朋美……「ピープル」「夢やぶれて」
・AKB・ST(スペシャルチームの略)……「雨に唄えば」「ハロー・ドーリー」「ショウほど素敵な商売はない」
・AKB・乃木坂・欅坂の主要メンバーによる数人の混成チーム。……「日曜は晴れ着で」「ハロー・ドーリー」「ショウほど素敵な商売はない」
・他のAKB48などの多数のメンバー……「ハロー・ドーリー」の場面でダンスが中心の出演。また、「ショウほど素敵な商売はない」の合唱に加わる。
・宇多田ヒカル……「ハロー・ドーリー」

映画の構成
 この映画は四部構成になります。第一部と第三部はオーケストラをバックに歌手が歌うコンサート。ただし、コンサートとはいっても観客はいません。したがって何回も撮りなおしができます。第二部と第四部はスタジオにセットを組み、そのなかで歌手たちがミュージカルシーンを再現します。とくに『王様と私』と『ハロー・ドーリー』のセットは、非常に豪華なものにしたいと考えています。コンサートの部分の歌は同録ですが、スタジオセットの歌は、一般のミュージカル映画と同様、事前に録音しておいた歌を撮影のときに流すことになります。まず、四つの部の歌と歌手をあげてみましょう。

・第一部(歌とオーケストラの伴奏によるコンサート)
 「サンライズ・サンセット」(『屋根の上のバイオリン弾き』)……平原綾香
 「2ペンスを鳩に」(『メリー・ポピンズ』)……平原綾香
 「バリ・ハイ」(『南太平洋』)……平原綾香
 「魅惑の宵」(『南太平洋』)……野口五郎、岩崎宏美
 「サウンド・オブ・ミュージック」(『サウンド・オブ・ミュージック』)……倉木麻衣
 「私のお気に入り」(『サウンド・オブ・ミュージック』)……倉木麻衣
 「エーデルワイス」(『サウンド・オブ・ミュージック』)……倉木麻衣、野口五郎、岩崎宏美、平原綾香
 「サウンド・オブ・ミュージック」(『サウンド・オブ・ミュージック』)……ジュリー・アンドリュース(映画より)

・第二部(豪華セットの中でミュージカルシーンを再現)
 「マリア」(『ウエストサイド物語』)……福山雅治
 「トゥナイト」……(『ウエストサイド物語』)……福山雅治、倉木麻衣
 「踊り明かそう」(『マイ・フェア・レディ』)……倉木麻衣
 「君住む街角」(『マイ・フェア・レディ』)……福山雅治
 「シャル・ウィ・ダンス」(『王様と私』)……渡辺謙、倉木麻衣

・第三部(歌とオーケストラの伴奏によるコンサート)
 「ハロー・ヤング・ラバーズ」(『王様と私』)……岩崎宏美
 「見果てぬ夢」(『ラ・マンチャの男』)……野口五郎
 「愛はどこに」(『オリバー!』)……松田聖子
 「メモリー」(『キャッツ』)……松田聖子
 「もしもあなたと別れるなら」(『キャメロット』)……秋川雅史(まさふみ)
 「ピープル」(『ファニー・ガール』)……華原朋美
 「夢やぶれて」(『レ・ミゼラブル』)……華原朋美

・第四部(豪華セットの中でミュージカルシーンを再現)
 「雨に唄えば」(『雨に唄えば』)……AKB・ST
 「日曜は晴れ着で」(『ハロー・ドーリー!』)……AKB・乃木坂・欅坂のメンバーの混成チーム。
 「ハロー・ドーリー!」(『ハロー・ドーリー!』)……宇多田ヒカル、AKB・STと混成チームほか。
 「ショウほど素敵な商売はない」(『アニーよ銃をとれ』)……野口五郎、岩崎宏美、AKB・ST、混成チームほか。

 次に四つの部の構成と演出などについて説明します。

○第一部
(「サンライズ・サンセット」「バリ・ハイ」「2ペンスを鳩に」「魅惑の宵」「サウンド・オブ・ミュージック」「私のお気に入り」「エーデルワイス」の七曲。出演は、歌と司会の野口五郎、岩崎宏美、そして平原綾香と倉木麻衣)
 第一部はオーケストラをバックにしたコンサート形式ですが、最初オーケストラはスクリーンに隠れていて見えません。そしてそのスクリーンには『屋根の上のバイオリン弾き』のバイオリン弾きのシルエットが映っていて、そのテーマを演奏しています。そしてそれに重なってメインタイトルとクレジットタイトルが表示されます。

 そのあとカメラはズームバックしてスクリーン全体を写し、そこに平原綾香が登場して、まだ見えないオーケストラの演奏と合唱団のコーラスをバックに「サンライズ・サンセット」を歌います。そして次は『メリー・ポピンズ』から「2ペンスを鳩に」。スクリーンには映画に出てきたセントポール大聖堂が映され、手前に鳩が飛び交います。スクリーンの向こうからは同じく合唱団のコーラスも聞こえてきますが、まだ見えません。そして、歌の途中でスクリーンはゆっくりとあがっていき、オーケストラと合唱団が現れます。そして、次の歌は『南太平洋』から「バリ・ハイ」です。

 なお、このコンサートの歌は、原則として原語、すなわち英語で歌われます。歌ごとに日本語に訳した歌詞がスーパーインポーズで画面に表示され、曲の最初には「『南太平洋』より「バリ・ハイ」」……というように曲目の説明が示されます。「バリ・ハイ」を歌いおわると、平原綾香は退場し、左から野口五郎が、右からは岩崎宏美が登場します。二人は『南太平洋』の「魅惑の宵」を歌いながら近づき、並んで歌いおわると退場。

 そして、「サウンド・オブ・ミュージック」のイントロが始まります。このイントロ部分は舞台では歌があるのですが、映画や通常の演奏と同様に歌は入れません。そして倉木麻衣が登場して「サウンド・オブ・ミュージック」を歌います。次に同ミュージカルより「私のお気に入り」と「エーデルワイス」を歌いますが、「エーデルワイス」の途中で野口五郎、岩崎宏美、平原綾香の三人が再び登場し、四人と合唱団のコーラスで「エーデルワイス」を歌いあげます。

 第一部から第四部まで、それぞれの最後に出演者のインタビューというか、ミュージカルに関する雑談が行われます。第一部では、オーケストラの前で、両脇に司会の野口五郎と岩崎宏美が立ち、中央に平原綾香と倉木麻衣が立ちます。そして司会の二人が自己紹介と出演者の紹介、および指揮者とオーケストラの紹介を行います。そして、四人は椅子にかけると、司会者は二人にこのコンサートに出演した感想や好きなミュージカルの話などを聞くわけです。平原綾香は『メリー・ポピンズ』などミュージカルの舞台の出演もしていますし、またビデオの『サウンド・オブ・ミュージック』の吹き替えもしているので、それについての話も聞くといいでしょう。好きなことを話してもらって、あとで五分程度に編集します。また、若い観客においては、六十年代のミュージカル映画やその歌が、いかに傑出していて大ヒットしたかを知らない人たちが多いと思うので、代表的な映画とナンバー、そしてそれに関する豆知識の解説も行うといいと思います。

 そしてこの会話の途中で、映画『サウンド・オブ・ミュージック』の冒頭でジュリー・アンドリュースが同名の主題歌を歌うシーンを見せられたらと思います。この映画の目的の一つは、ミュージカルにあまり興味のない若い人たちにもミュージカルの素晴らしさを知ってもらうということです。そのためには、ミュージカル映画史上の最高のシーンの一つといえるこの場面を実際に見てもらうことが効果的だと思うからです。また、DVDなどでこの映画を見ている人でも、年配の人以外では、実際に映画館で見た人は少ないでしょう。映画館の大画面で見る迫力と感動はまた格別なものです。もちろん、上映のためには映画会社の許可が必要ですが、この映画も製作から50年以上たっているため、認められる可能性は高いと思います。これにより同映画のビデオの売り上げが飛躍的に伸びる可能性もあるわけですから。

○第二部
(「マリア」「トゥナイト」「君住む街角」「踊り明かそう」「シャル・ウィ・ダンス」の五曲。出演は倉木麻衣、福山雅治、渡辺謙、。インタビューには、司会の野口五郎と岩崎宏美も加わる)

 第二部はスタジオにセットを組んで『ウエストサイド物語』『マイ・フェア・レディ』『王様と私』のミュージカルシーンを再現します。

 まず、『ウエストサイド物語』のニューヨークのビルの谷間のセット。福山雅治が現れ、「マリア」を歌いあげます。そして「トニー」と呼ぶ声がするので、そのほうを見ると、非常階段の渡り廊下の上に倉木麻衣が演じるマリアが立っている。トニー(福山雅治)はマリア(倉木麻衣)に近づきます。映画の『ウエストサイド物語』では、トニーが階段を登ってから「トゥナイト」のイントロ部分が始まるのですが、この映画では、トニーが路上にいるときにマリアがイントロ部分を歌いはじめます。トニーは歌いながら階段を登り、二人が向き合うと、歌のメインの部分に入るわけです。

 そして今度は、『マイ・フェア・レディ』のセットです。まず、ロンドンのヒギンズ邸の応接室と寝室で、倉木麻衣が「踊り明かそう」を家政婦たちとの掛け合いで歌います。そして次に、ヒギンズ邸の前の路上で福山雅治が「君住む街角」を歌います。私は、このシーンの最初に、福山と花売り娘役の渡辺麻友、指原(さしはら)莉乃(りの)とのコントを入れたいと考えています。この二人のコントは、あとで「ハロー・ドーリー」でも使いたいと思っていますが、たんにシーンを面白くするためだけではなく、福山が演じるフレディのイライザ(倉木)に対する想いを観客に伝える役割もはたします。

 次は『王様と私』の宮殿を再現した豪華セットでの「シャル・ウィ・ダンス」です。王様役はブロードウェーの舞台で王様役を演じて話題になった渡辺謙。そしてアンナ役は倉木麻衣です。二人はセリフをまじえながら、この歌を歌い踊ります。なお、これらの映画の再現シーンというのは、決して、映画と全く同じセリフや表現というわけではありません。この映画の観客は、これらのミュージカルの設定やストーリーを知らない人たちも多いわけですから、それについてさりげなく説明するセリフなども入れる必要があるからです。

 そのあとのインタビューは、『王様と私』の宮殿のセットで行います。司会は、第一部と同じ野口五郎に岩崎宏美。渡辺謙と倉木麻衣は『王様と私』の衣装。、福山雅治は『マイ・フェア・レディ』の衣装を着てのインタビューです。

○第三部
(「ハロー・ヤング・ラバーズ」「見果てぬ夢」「愛はどこに」「メモリー」「もしもあなたと別れるなら」「ピープル」「夢やぶれて」の七曲。出演は野口五郎、岩崎宏美、松田聖子、秋川雅史(まさふみ))、華原朋美、

 第三部は再びオーケストラをバックにしたコンサートになります。まず、岩崎宏美が『王様と私』から「ハロー・ヤング・ラバーズ」を歌い、野口五郎が『ラ・マンチャの男』から「見果てぬ夢」を歌います。

 そして、松田聖子が登場します。私の大好きな歌である『オリバー!』の「愛はどこに」は、彼女のソフトな歌唱がぴったりだと思いますし、次に歌う『キャッツ』の「メモリー」も魅力的でしょう。

 次に出演するのは、「千の風になって」が大ヒットした秋山雅史。歌は、『キャメロット』から「もしもあなたと別れるなら」。日本ではほとんど知られていない歌ですが、彼が朗々と歌うこの名曲に観客は魅了されると思います。

 次に華原朋美に登場してもらい、『ファニー・ガール』から「ピープル」、『レ・ミゼラブル』から「夢やぶれて」歌います。日本語の歌詞の「夢やぶれて」は彼女の持ち歌ですが、この映画では英語で歌ってもらいます。

 そして最後は、野口五郎、岩崎宏美、松田聖子、秋川雅史、華原朋美、の五人での話ということになります。

○第四部
(「雨に唄えば」「日曜は晴れ着で」「ハロー・ドーリー」「ショウほど素敵な商売はない」の四曲。出演はAKB・ST、AKB・乃木坂・欅坂のメンバー、、野口五郎、岩崎宏美、そして宇多田ヒカル)

 第四部は『ハロー・ドーリー』の超豪華セットが登場しますが、冒頭は公園のセットです。中央には噴水があって、回りはスクリーンに囲まれており、そこにはニューヨークの超高層ビル群が映っています。最初、画面には五色のパラソルが写っていて、それが上にあがると、AKB・STが登場し、まず、『雨に唄えば』のなかの同名の主題歌を歌い踊ります。AKB・STというのは、AKB・スペシャルチームの略で、AKBを卒業したメンバーが中心となります。(AKB・STの例……高橋みなみ、大島優子、小嶋陽菜、柏木由紀、渡辺麻友)

 そして次に超高層ビルが写っていたスクリーンが上にあがると、『ハロー・ドーリー』のハーモニア・ガーデンという巨大な超豪華レストランのセットが現れます。そして、公園の噴水は、今度はここの中央にある噴水になるわけです。映画に出てくるセットは、レストランというより宮殿のようでしたが、これと同じというのは無理でも、予算の範囲内でできるかぎり豪華なセットを作りたいと考えています。

 このセットで最初に歌われるのは、『ハロー・ドーリー』のなかの「日曜には晴れ着で」ですが、あまりメジャーな歌ではありません。ただ、私が好きな歌でもあり、また、AKBなどにはぴったりの明るい歌でもあるので、選びました。私は、この歌は、AKB・乃木坂・欅坂のメンバーによる数人の混成チームを特別に作って、このレストランの出し物として歌ったらいいのではないかと思います。また、今までの歌と違って日本語の歌詞でもかまわないので、場合によっては、秋元康さんに訳詞を担当してもらうことも考えられます。

 次に、このシーンのメインとなる歌である「ハロー・ドーリー」です。この歌をを歌うのは、AKB・STとAKBと姉妹グループの混成チームですが、肝腎のドリー役には宇多田ヒカルがぴったりだと思います。映画のドリー役のバーブラ・ストライサンドはゴールドのドレスを着て歌いましたが、彼女はシルバーのドレスを着てもらうというのはどうでしょうか。

 映画の『ハロー・ドーリー!』では、歌の前に多数のウエイター役のダンサーなどによる華麗でユーモラスなダンスがくりひろげられましたが、この映画ではウエイトレスに扮したAKBと姉妹グループによる集団ダンスを披露したいと思います。AKBやその姉妹グループのメンバーの中には、新体操などができる人もいるようなので、映画で見せていたアクロバティックなダンスも可能かもしれません。また、「マイ・フェア・レディ」に続いて、ウエイトレス役の渡辺麻友と、客役の指原(さしはら)莉乃(りの)による、ちょっと面白いコントも入れたいと考えています。

 「ハロー・ドーリー」の歌が終わると、このセットで、司会の野口五郎、岩崎宏美とAKB・ST、そして宇多田ヒカルが並んでの話となります。後ろにいるAKB48と姉妹グループのメンバーたちに話をふってもいいでしょう。そしてそのあとは、宇多田ヒカルをのぞいた皆でフィナーレの「ショウほど素敵な商売はない」を歌い、この映画は終了します。

 その後、クレジットタイトルが流れるときには、この映画で歌われたミュージカルナンバーが次々と演奏され、画面には『サウンド・オブ・ミュージック』『ウエストサイド物語』『マイ・フェア・レディ』などのミュージカル映画のスチール写真が映されます。

 以上がこの映画の構成ですが、映画をヒットさせるためには、メイキングビデオを同時に撮影して、それを映画封切り前にテレビのゴールデンタイムに放映するという手もあるでしょう。私は一般の映画は、封切りの前にメイキングを放映することは避けたほうがいいと思っています。というのも、ストーリーのある劇映画では、映画の内容についてある程度知ってしまうと、面白さが半減してしまうからです。しかし、この映画は劇映画ではなくストーリーはないので、その心配はありません。もちろん、白紙の状態で見たほうが様々な「驚き」は大きいでしょうが、映画の情報を事前に知ってしまうデメリットは、劇映画に比べたらずっと小さいと思います。メイキングの内容としては、出演者のレッスン風景などとともに、超豪華セットの製作過程なども見せるといいと思います。


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