SABOの八つの世界   

      シナリオ『アフロディーテ』 15
風水の真実ザ・有名人占星術映画・Jポップエッセイ私の映画企画私のマニフェスト八道州・七新都市構想ここがおかしい 日本人類の歴史を変える新哲学

HOME(トップページ)

メッセージ

私のプロフィール

メール・コピー等について

サイトマップ

SABOの東京名所写真

  『アフロディーテ』に戻る

○ リノス銀行の前
  銀行から出てきた畠山頭取、駐車している自分の車に近づく。
  が、黒ずくめの二人の男が現れ、頭取を両側から挟む。
ギャングA「畠山さん、すいませんが、ちょっと一緒に来ていただけませんか」
  頭取、顏をしかめ、
頭取「何?……(二人を交互に見)君たち淡口ファミリーの者だな。(やや(おび)えながらも虚勢を
 張り)いったい何の用だ」
ギャングA「決してご迷惑はおかけしません。あなたの頭取としての地位に関することです」
頭取「(顏をしかめ)わしの地位だと?」
ギャングA「はい。来ないと後悔なさいますよ」
  頭取、二人のギャングを見比べ、迷っている。

○ 淡口邸・応接間
  淡口が腰をおろしている。ドアがあき、頭取とギャングCが入ってくる。不安そうにあたり
  を見回す頭取。(前回と同じく、演出では淡口の顔は写さない)
淡口「どうぞおかけください」
  頭取、椅子にかける。
頭取「いったい、わしに何の用なんだね」
淡口「きょうあなたをお呼びしたのは、あなたを助けるためです」
頭取「わしを助ける?」
淡口「はい。まず、これをご覧ください」
  とテーブルの上に新聞を差し出す。
  頭取、変な顏をしながらも、それに注目する。
淡口「六日前の夕刊です。(ステッキを取り、その先で記事を示しながら)そしてこれが問題の
 記事です」
  その記事はそれほど大きなものではないが、美紀の顔写真が載っている。
淡口「憶えていらっしゃいますか」
頭取「いや、最近は忙しくて、三面記事はあまり読んでない」
淡口「では、説明しましょう。我々の調査でわかったことも付け加えてね。まず、この問題の女
 性は原田美紀といいます。年は四十で、サラリーマンの夫と二人の息子がいて、自分は婦人服
 の店を経営している。ご覧の通りの美人です。しかし、このごくありふれた女性に思いがけな
 い不幸が舞い込んだ。彼女が経営している店は五年あまり前に入った叔父の遺産で開いたもの
 ですが、実はこの叔父が莫大な借金を背負っていたんです。しかも普通の借金じゃない。話は
 少々複雑になりますが、最初に借金をしたのはその叔父の父親で、彼が若いときのことです。
 ところがその父親は、金を貸した高利貸が借用証書をなくしたのをいいことに、金を返さなか
 った。そしてこの争いは彼らの子供の代、すなわち美紀の叔父と高利貸の同じ職業の息子との
 間まで続いていた。ところが、その叔父が死に、財産が美紀に渡った今になって、紛失した借
 用証書が出てきたのです。本来、こんなものは時効で問題にもならないはずです。しかし、こ
 の国にはまだ時代おくれの不合理な法律が残っている。これは政治家の責任だが、現実にその
 法は有効なんです。つまり、彼女は叔父の遺産を相続した以上、その父親の借金も利子を付け
 て払わなければならない。知らなかったと言っても許されません」
頭取「……で、その借金というのはいくらなのかね」
淡口「はは、それがまたとてつもない額なんです。だからこそ新聞(だね)になったんです。最初借り
 た額はたいしたことなかったんでしょうが、それに高利が付いて一年で約倍になる。二年で四
 倍になる。(ねずみ)算式に増えていって、現在では、その額は天文学的数字になってます」
頭取「……というと?」
淡口「四億七千万テミス」
頭取「(愕然とする)……四億七千万テミス」
淡口「もちろん彼女はその一万分の一だって払えやしない。しかしその高利貸の目的は、どうや
 ら金を取ることではなくて復讐にあるらしい。つまり、彼女の叔父に対して抱いていた強い恨
 みの矛先(ほこさき)を、何の罪もない(めい)に向けたということです。その結果、彼女は店を取りあげられる
 のはもちろん、さらに債務者刑務所に入らなければならなくなった」
頭取「それはひどい」
淡口「全くです。ところが、彼女に思いもよらぬ救いの神が現れたんです」
頭取「救いの神?」
淡口「さよう。つまり彼女に代わってその借金を支払おうというものがです」
頭取「(呆気にとられて)その……四億七千万テミスを?」
淡口「いや、初めのうちはもっと低い額で妥協させようとしたらしい。十万テミスだって、あん
 な店を取るより得ですから。しかしその高利貸の目的は、復讐であって金じゃない。その点で、
 その高利貸と救いの神は同種の人間らしい。……そして結局、その救いの神は申し出たんです。
 四億七千万テミス全額を支払うと」
頭取「(驚いて)全額を?……」
淡口「そうです。そう言われた以上、その高利貸は法律上それを拒否することはできない」
頭取「……しかし、いったいそれは何者なんだ」
淡口「その人物は決して名を明かさない。交渉もすべて代理人を通して行っている。しかし、我
 々の得た情報によれば、その代理人は佐伯不動産社長、佐伯亮一の執事だということです」
頭取「(狐につままれたような表情をし)……佐伯社長の執事?」
淡口「さよう。……つまりその救いの神とは、佐伯社長なんです」
頭取「……よく意味がわからんが……。佐伯社長がいくら大金持といったって、そんなとてつも
 ない額は……」
淡口「もちろんです。なにしろ市の年間予算を上回る額ですから。佐伯社長の全財産は一億テミ
 ス程度でしょう。しかし、自分の会社を犠牲にすれば別です」
頭取「自分の会社を犠牲?」
淡口「そうです。佐伯不動産の名義で金融機関から金を借りまくる。その金を返済に当てれば、
 会社はつぶれるが、彼女は救うことができる」
頭取「(ますますわけのわからないという顔になり)……どうも先ほどから聞いてると、佐伯社
 長が一人の女を救うために、自分の全財産を投げ出すだけじゃなくて、自分の会社もつぶそう
 としているというふうに聞こえるが」
淡口「聞こえるんじゃない、事実です」
  頭取、笑いだす。
頭取「そんな、ばかな」
淡口「そうやっていつまでも笑っているといい。そうしてるうちに、あなたの頭取の首は吹っ飛
 びますよ」
頭取「(笑いが消え)……本当なのか」
淡口「あなたの銀行は、三日前に四千万テミスの貸付けを佐伯不動産にしたはずです」
頭取「あれは土地の買占めに必要だからと……」
淡口「佐伯社長は今土地の買占めなどしていない。その四千万テミスと自分の資産の一部を処分
 した七百万テミスを、第一回分として、きのうその高利貸に払ってます」
頭取「(憤然として)しかし……どうして」
淡口「はは、どうしてでしょう。全く気違いじみている。けれども、それが佐伯亮一の秘密だっ
 たんです。我々が長いこと探し求めていた」
頭取「(興奮して)しかし、それは犯罪じゃないか。特別背任、業務上横領、詐欺(さぎ)だ」
淡口「その通り。けれども佐伯社長は刑務所に入る覚悟でいます。彼女の代わりにね」
頭取「……いったい何なんだ。その女は、佐伯社長の」
淡口「はっきりとはわからない。しかし、おそらくアフロディーテ……」
頭取「(妙な顏をして)アフロディーテ?」
淡口「ええ。……とにかく頭取、これ以上の貸付けは一切行わないことですな、彼は要求してく
 るでしょうが。あの会社が今の時点でつぶれてしまっては、我々も困るんです。というのも、
 実はある計画があるんでね。我々の目的の遂行のために、彼の狂気を利用させてもらおうとい
 うわけです。四日後に彼女の夫が出張に出かけたときにね。これは面白いことになりそうです」
頭取「いったい何を(たくら)んでるんだね」
淡口「はは、あなたには関係ないことです。ただ、あなたは佐伯不動産への貸付けを、今後中止
 してくれればいい。そうすれば、ほかの金融機関からの借金にはもう少し手間がかかるはずで
 す。少なくとも我々の計画が終わるまでは倒産しないでしょう」
頭取「いや、いずれにしても早く警察に知らせなければ。うちの銀行が今まで貸した金が回収不
 能になるかもしれない」
淡口「いや、それは困る。今彼が逮捕されたら、我々の計画は元も子もなくなる。一週間後なら
 かまわない。しかし、それまではこのことは一切口外しないことです。もし命が惜しければ。
 いいですね」
  頭取、動揺している。

○ リノス銀行・頭取室
  机の前にかけている頭取。立っている星に向かって憤慨している。
頭取「星君、いったいこれはどういうことかね」
星 「……さあ、私にはさっぱり見当が……」
頭取「調べてみたら、確かに佐伯不動産は今土地の買占めなどしていない。それに佐伯社長は自
 分の資産を次々に処分している」
星 「いやあ……私は生まれてこの方、こんなわけのわからないことは……」
頭取「君があの人物を保証したからこそ、莫大(ばくだい)な資金を融資したんだ。もし貸付けた金の多くが
 回収不能にでもなったら、わしの頭取の首は飛ぶ」
星 「お言葉ですが、私は乗っ取りの資金の融資は提案しましたが、土地の買占めに金を出すよ
 うにとは……」
頭取「(星の言葉をさえぎり)言いわけはやめたまえ。何が『女嫌いで、人を決して愛さない人
 間』だ。それどころか女狂いじゃないか」
星 「いや……そう言われましても……(何か思いついてはっとする)わかりました……佐伯社
 長は発狂したんです」
頭取「発狂?」
星 「はい、それしか考えられません」
頭取「ふむ……しかし、それなら回りの人間が気づいて適当な処置をするはずだが……」
星 「しかし、そうなるとどうなんでしょう、私の報酬は。いろいろ理由を付けて支払いを引き
 延ばされてますが」
頭取「それは当然踏み倒されるだろうな。もっとも君の報酬など、うちの銀行の被害に比べれば、
 わずかなものだ」
星 「いや、それは困ります。なにしろあの乗っ取りは、私の血と汗と涙の結晶なんですから。
 こうなったら一刻も早く、矢吹専務にこのことを知らせなければ」
頭取「(あわてて)いや、待ちたまえ。淡口から言われてるんだ、一週間後までこのことは誰に
 も言うなと。ということは、きょうから六日後だ。もしこのことが漏れればわしは殺される。
 いいかね、君が今までやってこれたのも、わしの援助があったからこそだ。もしわしの身に何
 かあったら、これから君はどうする。……だから六日後までは絶対にこのことは話してはなら
 ん。わかったね」
  星、不満そうな表情。

○佐伯不動産・社長室
  応接セットに矢吹が険しい表情で腰をおろしている。
  ドアがあき、佐伯が入ってくる。
佐伯「やあ」
  と軽く言って机の前に腰かけ、引出しから書類を取り出す。
  その佐伯をまじまじと見つめながら矢吹、
矢吹「元気がいいようだな」
佐伯「(書類をめくりながら)ああ、おかげさまでね」
矢吹「けさの新聞を読んだよ」
佐伯「(書類に目を通しながら)ふん」
矢吹「世の中にはずいぶん殊勝(しゅしょう)な人間がいるものだな。原田美紀の借金を全額肩代わりしようっ
 ていう者が現れたそうだ」
佐伯「ほう、誰だろうな」
矢吹「へたなとぼけ方はよせ」
佐伯「僕にそんな金はないよ」
矢吹「ちゃんと調べはついてるんだ。会社の名義で金を借りまくってるだろ」
  佐伯、ため息をつくと、ここで初めて書類から顔をあげ、矢吹を見る。
佐伯「ふむ、よく調べたな。ま、いい、君には最初から隠し通せるとは思ってなかった」
矢吹「いったいどういうつもりだ」
佐伯「どういうつもりって、彼女を助ける、ただそれだけさ」
矢吹「この会社をつぶすつもりか」
佐伯「まあ、結果的にはそうなるだろうな、残念だけど」
矢吹「……正気か」
佐伯「……多分」
  矢吹、立ちあがると、佐伯に近づく。
矢吹「佐伯、もう一度よく頭を冷して考えるんだな。もし理性のかけらでも残っていたら。この
 会社がつぶれれば、社員全部が職を失う。そしてその家族も皆犠牲になる。さらに関連会社も
 次々につぶれる」
佐伯「(人ごとのように)ああ、そうだな」
矢吹「……たった一人を救うために、何千人も犠牲にするのか」
佐伯「(平然と)そう」
  矢吹、佐伯の肩をつかむと激しい口調で、
矢吹「佐伯、彼女のために財産を投げ出そうと、命を捨てようと勝手だ。しかし、他人を巻き添
 えにするな」
  佐伯、自分の肩をつかんでいる矢吹の手をつかんで外すと、
佐伯「(穏やかに)矢吹、この会社がここまで来たのも、元はといえば彼女が原因だ。そして今 度は、彼女が原因で(ほろ)びる。そういう運命なんだ」
矢吹「(唖然として)バカな……」
  佐伯、ゆっくりと立ちあがると、矢吹から離れ、
佐伯「君が怒る気持もよくわかる。なにしろこの会社はおたがい血の(にじ)むような努力をしてここ
 まで持ってきたんだからな。しかし、運命に逆らっちゃいけない。物事あきらめが肝腎だ。こ こは一つ冷静にならなくちゃ。判断を誤らないためにもね」
  矢吹、怒りよりもむしろ呆気にとられたような表情で、佐伯の言葉を聞いている。
佐伯「君の選ぶべき道は二つある。一つは僕に協力すること。とはいっても、君はただ目をつぶ
 っててくれればいいんだ。その結果、確かにこの会社はつぶれるが、君には僕の財産から充分
 な金をやろう。君はその金で一生遊んで暮らしてもいいし、別に事業を始めてもいい。このや
 り方を選べば、僕も彼女も、そして君も不幸にならずにすむ。第二の道は、はるかに愚かな選
 択だ。君は僕のやってることを公にする。僕は逮捕されるし、取締役も辞めなければならない。
 しかし、依然として株の九十四パーセントは僕のものだし、社主として経営の実権は僕の掌中(しょうちゅう)
 にある。僕は君を首にして、社長には僕の息のかかった人間、たとえば執事を()えることもで
 きる。しかしそうした場合、この会社はどうなるか。どの銀行も取引は中止するし、社として
 の信用はゼロになる。結局経営に行き詰まって倒産するのは目に見えている。ただ同じく倒産
 するにしても、この場合、君も僕も彼女も不幸になる。……さて、いったいどっちが得か、よ
 く考えてみることだな」
  矢吹、何も言えず、険しい表情で考えこんでいる。
                                  (O・L)

○ ペルセポネー病院・診察室
  机で野上がカルテを点検している。
  電話のベルが鳴る。受話器を取る野上。
野上「もしもし」
矢吹の声「あ、矢吹だが」
野上「(微笑し)なんだ、君か。その後元気かい」
矢吹の声「ああ。実はちょっと君に相談したいことがあるんだ」
野上「ほう、いったい何だい」
矢吹の声「実はうちの社長のことなんだが」
野上「社長?……ふむ、彼の秘密を教えてくれるとでもいうのかい」
矢吹の声「ああ、そうしなければならなくなった、不幸なことにね」
野上「(妙な顏をする)……ふむ、何か深い事情がありそうだな」
矢吹の声「とにかく君の都合のいい時間にそっちへ行きたい。何時ならいい?」
野上「いや、それには及ばんよ。僕のほうから行こう。佐伯亮一の秘密を教えてくれるというな
 らね。ええと、(と壁の時計を見て)何とか三時までに行けると思う」
矢吹の声「わかった。じゃ、頼むよ、待ってるから」
野上「ああ、じゃ、そっちで会おう」
  受話器を置く野上。ふと考えこむ。

○ 佐伯不動産・専務室
  椅子にかけている野上。やや離れた所に矢吹が立っている。
野上「ふむ、かつて憎しみで人の会社をつぶした人間が、今度は愛で自分の会社をつぶそうとい
 うのか」
矢吹「そんな悠長(ゆうちょう)なことを言ってる場合じゃないんだ。この会社が生きるか死ぬかの瀬戸際(せとぎわ)なん
 だからな。今まで話したことはすべて事実だ。信じられんかもしれんが」
野上「いや、佐伯社長の秘密が何か愛情に関係したことではないかということは想像していた。
 一方では、自分を侮辱(ぶじょく)した人間に対する憎しみの執念、もう一方では、美紀に対する偏執狂的
 な愛。どちらも彼の特質に根ざしているんだ。一枚のコインの表と裏さ」
矢吹「(ため息をつき)……で、野上、ここは何としてもこの会社を救わなければならない」
野上「ああ……しかし、それは難しいんじゃないか。結局君は、社長の言った第一の道か第二の
 道を選ばざるをえないだろう?」
矢吹「いや、僕が選ぶのは第三の道だ」
野上「第三の道?」
矢吹「ああ、これは違法な、かなり荒っぽいやり方だが、目には目をさ」
野上「いったい何を考えてるんだ」
矢吹「いわば最後の手段さ。この会社を救い、佐伯を刑務所に入れないためには、これしか方法
 がない。そのために君の力を借りたいんだ」
野上「(変な顏をして)僕の力?」
矢吹「うん。そのために君に彼の秘密を話したんだ。その第三の道とはこうさ。佐伯を発狂した
 ことにする」
野上「(顔をしかめ)発狂?」
矢吹「そう。君は佐伯を精神分裂病と診断する。君の診断書を添えて裁判所に申し出れば、彼を
 禁治産者(きんちさんしゃ)にできる。そうすれば、佐伯はこの会社に対しても、自分の財産にも、完全に無力と
 なる。今までしたことの刑事責任も問われないし、外部の者は、病気だったんだから仕方ない
 と思うだろう。会社のダメージも最小限に抑えられる」
野上「僕に偽の診断書を書けというのか」
矢吹「この会社を救うには、それしか方法がないんだ。頼む」
野上「それはできないね、いくら君の頼みでも。事実がわかれば、僕は医師の資格を剥奪(はくだつ)される
 ろう。刑事責任だって問われる。第一、そんなことは医師としてのプライドが許さない」
矢吹「君の立場はよくわかる。しかし、これは一種の緊急避難的行為だ。もし事実がわかったと
 しても、情状酌量(じょうじょうしゃくりょう)が認められるだろう。それにその場合、僕のほうで充分な補償をする」
野上「僕を金で釣ろうっていうのか」
矢吹「野上……この会社がつぶれれば、何千人が被害を受ける。その何千人を救うことができる
 のは、君しかいないんだ。……これは僕の一生の頼みだ」
  野上、ため息をつくと、ひどく迷いながら考えこんでいる。が、ポツリと、
野上「……しばらく考えさせてくれ」
矢吹「……ああ……よく考えてくれ」
  矢吹、ため息をつくと、あたりを見回す。すると、窓の外に雪がチラついているのに気づく。
矢吹「雪だ……」
  と窓際(まどぎわ)へ行き、外を見つめる。
矢吹「(何かを思い出すように)積もるかな……」
  その矢吹を怪訝(けげん)そうに見ている野上。
                                  (O・L)


 『アフロディーテ』に戻る  シナリオ『アフロディーテ』16に進む  このページのトップに戻る