私の選んだJポップ・オールタイムベストCD&DVD (その2) |
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「映画・Jポップエッセイ」に戻る 八神純子、松任谷由実、山本達彦、山下達郎、今井美樹(南野陽子)、高橋真梨子 (推薦歌のみ……南野陽子、柏原芳恵、まがじん) 〔以下は(JポップベストCD&DVD・その3)で解説〕MISIA、倉木麻衣、中島美嘉、平井堅、平原綾香 八神純子 (『夢みる頃を過ぎても』『ロンリー・ガール』) 八神純子は、自分で作詞・作曲もし歌も歌うというシンガーソングライターの一人でしたが、当時でもテレビにはほとんど出ないシンガーソングライターが多かったなかで、彼女はヒット曲を連発してテレビに出まくってました。彼女の歌は詞も曲も傑出していましたが、歌手としても透明な高音が特徴のすばらしい声の持主でしたね。ただ、彼女のデビューアルバムの『思い出は美しすぎて』に関しては、私としては辛い思い出があるのです。当時私はひどい失恋をしてこのアルバムを聴いていたのですが、「思い出の部屋より」とか「もう忘れましょう」などといった歌が、あまりにも生々しく失恋の悲しみを表現しているので、一カ月ほど泣き通して水たまりができるほどの涙を流したのです。そんなに「泣けるアルバム」をなぜ推薦盤にしないのかといわれれば、私としてはこれを聴くと当時を思い出して辛いのです。まあ、失恋して大泣きしたい人は聴いてみてください。ただし泣きすぎて体を壊さないように。 ということで、結局、推薦アルバムとしてあげたのが『夢みる頃を過ぎても』と『ロンリー・ガール』の二枚。でも、この二つのアルバムは最高です。定番を聴くならベストアルバムがおすすめですが、私としては定番以上に好きな歌が、これらのアルバムには詰まっています。 松任谷由実 (『REINCANATION』『NO SIDE』『VOYAGER』) 数えてみたらユーミンのアルバムは二十枚ほど買っていました。私が聴いた何百ものユーミンの歌の中からベスト3を選ぶとすれば、次のようになります。①「 山本達彦 (『ゴールデン・ベスト』『MUSIC』『 山本達彦って私と生年月日が同じなんです。今まで二人とも独身というのも一緒(二人とも理想が高すぎるせい?)。もしかして将来、同じ年に結婚したりして……そんなわけないか。彼の出身校は成蹊大法学部で、私も私大の法学部。彼の音楽は、洗練された都会的感覚が特徴で「シティ・ポップ界の貴公子」とかいわれてました(私は評論界の奇行子?)。生まれた日が同じせいなのか、彼の音楽というのは私の感性にピタリとはまります。もし私が作曲家に生まれていたなら、彼の歌のような曲を作りたかったと思いますね。また、あれだけ美しくエレガントな曲をたくさん作れたら、作曲家としても満足な人生を送れたと思います。 彼の歌を初めて聴く人には、『ゴールデン・ベスト』がおすすめ。山本達彦のバラードのすばらしさを堪能できます。また、『MUSIC』『MARTINI HOUR』は、名曲が数多く入っている代表的なアルバム。そのほか『夏がはじまる日』というアルバムの中にある「街角」という歌もいい曲で、私のお気に入りです。 山下達郎 (『Melodies』『 山下達郎の曲というのは独特ですね。いわば南国の太陽を思わせるようなカラッとした、それでいて美しいメロディー。こういう作曲家というのは今まで日本にいなかったろうし、またこれからも出ないのではないかと思います。彼のアルバムの中でも、三枚の推薦盤は名曲だらけです。『Melodies』には有名な「クリスマス・イブ」が入ってますね。仮に「ホワイト・クリスマス」を夏に聴いたら違和感がありますが、この歌は八月に聴いても少しもおかしくない。たとえ歌詞に「雪へと変わるだろう」という部分があっても、その明るいメロディーと編曲で、半袖のサンタクーロスが出てきそうな南国のクリスマスという感じがします(もっとも、このアルバムは夏に発売されています)。でも、この歌って歌詞を読んでみると悲しい歌なんですね。もっとも、歌詞は「きっと君は来ない」で「君は来なかった」ではないから、まだ希望を残している。そして、明るい曲がその希望を強めるように作用しています。クリスマスソングなのに夏に聴いてもおかしくない歌、悲しい詞なのにウキウキとさせるようなメロディーでハッピーエンドを予感させ、聴く人に生きる希望を与えるような歌……考えてみれば不思議な歌ですね。 ところで彼の奥さんは竹内まりやですね。桑田佳祐と原由子夫妻と共に日本を代表するシンガーソングライター同士の夫婦です。西洋占星術でみても、二組ともとても相性がいいんですよ。 今井美樹 (『Ivory&IvoryⅡ』『 今井美樹は女優としても活躍してきましたけど、歌手としても根強い人気を長年保ってます。あの透き通った温かい声は、バラードを歌うのに最適ですからね。『Ivory』というのは彼女の初期のベストアルバムで、耳に心地よい歌が揃っています。私が一番好きなのは「野生の風」と「瞳がほほえむから」ですけど、この二曲はずっとあとに出た『IvoryⅢ』というベストアルバムにも新しい編曲で入っています。「野生の風」は千住明さんによる華麗な編曲で、今井美樹はオーケストラをバックに歌っています。どちらがいいかは好みが分かれるところでしょうけど、両方を聴き較べてみるのも一興でしょう。 あと私が特に好きなのが「半袖」(『retour』)と「遠い街から」(『flow into space』)。どちらも曲も編曲も最高です。「半袖」というのは、自分の恋人の奥さんと子供を見かけて苦しくて倒れそうになるという、いわば不倫の歌なんですけど。今井美樹の昔の恋愛事情をあとで知ったので、これは彼女の実体験にもとづく歌詞なのかなんて考えましたけど、でも彼女の作詞ではないので偶然なんでしょう。まあ、このような昼メロで扱われればドロドロの愛憎ドラマになってしまうようなテーマを、実に美しい詞と曲に昇華しています。「遠い街から」はコンサートのDVDや『I Love A Piano』でも鑑賞できますが、やはりストリングスの入った、作曲者の久石譲さん編曲のオリジナルで聴くのがベストです。 ところで、「半袖」を作曲した上田知華は、南野陽子に「安息の午後」という傑作を提供しています。こちらは彼女が作詞も担当してますが、愛する男性を殺してしまうという、はるかにドロドロのメロドラマになりそうな素材(おそらくは無理心中)。ところが、舞台をアラビアかどこかの河の上、そこを流れる小舟に設定して、すばらしい情景描写の中で夢幻的に描くんですね。こんな美しい状況の中で美女に殺されるなら 高橋真梨子 (『the best』) 高橋真梨子は、美しいバラードで大人の女性も酔わせるという点では、今井美樹の先輩ともいえますね。ただ、今井美樹の歌が繊細で、か弱い女性のイメージがあるのに対し、高橋真梨子のほうは、より力強い感じ。もっとも占星術では、今井美樹は男性的な牡羊座の生まれで、高橋真梨子は女性的な魚座だから、案外性格的には逆なのかもしれませんけど。 彼女は1973年にペドロ&カプリシャスのボーカルとして「ジョニーへの伝言」でデビューしてますが、この歌は当時としてはきわめて画期的な作品でした。まずメロディーが当時の歌謡曲と違って欧米的。歌謡曲が嫌いだった私が何度も口ずさんでいたぐらいですから。そして歌詞の内容が、アメリカ映画のワンシーンを描いたような感じでした。なにしろ登場人物がジョニー君だし、次の「五番街のマリーへ」ではマリーさんですからね。阿久悠氏は、詞を書くとき洋画からインスピレーションを得ることもあったみたいです。もっとも、当時の日本映画を参考にしたら「神田川」みたいな四畳半フォークのようなものしかできなかったでしょうけど。 その後、彼女はグループを脱退してソロ歌手になったんですけど、ソロになって成功した例というのは少ないし、まして彼女のように長期にわたって活躍するというのは驚異的といってもいいでしょう。彼女の歌の中で一番好きなのは「for you ……」ですけど、比較的新しい歌では「真昼の別れ」もいいですね。 ☆推薦歌のみ……南野陽子、柏原芳恵、まがじん 追加として、南野陽子……「安息の午後」、柏原芳恵……「最後のセーラー服」、まがじん……「愛の伝説」の三曲を推薦歌としてあげておこうと思います。 南野陽子の「安息の午後」(ダウンロード可)については、今井美樹の項で述べました。柏原芳恵の「最後のセーラー服」(ダウンロード可)は彼女の「春なのに」に似たテーマの歌ですが、彼女の歌の中では最も好きなものです。 まがじんというグループの歌う「愛の伝説」というのは、昔、浅丘ルリ子が主演した『さよなら、今日は』というテレビドラマの主題歌。私は当時この歌が好きだったんですけど、別にレコードとかは買いませんでした。でも、何十年間、何となく頭の隅にこの歌のことが残っていて、気になっていたんですね。インターネットで調べてみたら、『青春の歌シリーズ 青春のフォークベスト 2』というCDに入っていることがわかり、買いました。私以外にもけっこうこの歌の隠れファンというのは多いみたいです。 この三つの歌というのは、いわば「知られざる名歌」ですね。まあ、「JポップベストCD&DVD・その4」であげる私のJポップ・オールタイムベストアルバムの中に入っている歌も、それらを歌う歌手たちのベスト盤にさえ入っていない知られざる名歌がたくさんあります。でも、同じ名歌でありながら、定番となる歌と、ほとんどの人に知られることもなく埋もれてしまう歌との違いというのは、どこからくるのでしょうか。 たとえば、太田裕美の「木綿のハンカチーフ」にしても、もしアルバムからシングルカットされなかったら、単なるアルバムの中のいい歌の一つということで終わっていたでしょう。山下達郎の「クリスマス・イブ」も、もしJR東海のCMに使われなかったらクリスマスソングの定番になることなどなかったと思います。逆に、MISIAの大傑作バラード「To Be In Love」はシングルにもならなかったのですが、もしこれが高視聴率ドラマの主題歌だったら「Everything」ぐらい売れたのではないかというインターネットの書込みも説得力を持っているといえましょう。つまり、ある名歌が定番となるかどうかというのは偶然が作用していることも少なくなく、人々に知られずに埋もれてしまうケースとは 「映画・Jポップエッセイ」に戻る このページのトップに戻る 「JポップベストCD&DVD・その3」へ進む |
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